週刊少年サンデー 『マギ』断層が生み出す実感

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週刊少年マガジンでは、最近始まった
『波打ち際のむろみさん』が好調ですが
一方の少年サンデーは、この『マギ』。
うーん、サンデーマガジン連合調子いいなぁ…。

アニメ化もされた(で、アニメも結構面白かった)『すもももももも』の
大高忍先生が、週刊少年漫画誌で何を描くか?と
注目していた作品なのですが、この作者さんは『すもも』の頃から
人物描写が確かなんですよね。
キャラクターが何を考え、どう心が揺れるかというのを
個別にキッチリ押さえている人の作品は、安心して読めます。
簡単に言うと、作者って神の視点というか…全部の情報を管理できてしまうがゆえに
キャラクターごとに知りえる情報(や、そこから生まれる考えの違い)
などに差を設けるのを怠る時があって。
典型的なのは、『NARUTO』において
同じコマ内で全員同じリアクション取るとき?(笑)

でも、それを徹底してキャラクターの個性を生み出す作家というのは
その時点でスベらないね、というか。そういう信頼を置いています。
ので、今回も連載開始前からまあ大丈夫だろうとは思っていたんですが
大丈夫だろうどころか、新興エース群ですねぇ…。

感情の段差に加え、今回の場合は「制度」の壁というものも設けている。
架空の世界でありながら、奴隷制のある世界で
人間が仕組みによって同じ人間を隷属させる世界というものが、どんな世界で
それを行う側と、それに精神を縛られる側の心理状態がどんなものかというのを
キッチリと描いているのが、大変魅力的です。
僕らはなんだかんだいって、今を生きているので
どうしても「今の僕らからみた常識」で考えてしまうんですよね。
また現実感覚というものも重要で、この感覚がまるでないと
読者がついてきにくい、という問題もあるのですが。
(よく言う、設定がぶっとんでるならキャラで親しみを、とかそういう話)

けれど『マギ』は領主ジャミルの
奴隷という「物」を最大効率で扱おうという考え方であったり
奴隷少女モルジアナの、魂まで縛られている様であったりを描いた上で
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アラジンという、記憶のない、世界にとっての「異物」でもって
僕らの気持ち、僕らの常識に近い所での代弁を行ってくれる。
親友アリババもそれなりにリベラル思考なのですが、やはりこの作品では
アラジンが唯一、作品世界から逸脱した思想を
堂々と語る事のできる、フリーパスを持っていて。
そしてそのアラジンの思考を通じて、読者は作品世界に没入することができる、と
…かなり良い連載になっているのです。

今回良かったのは、やっぱりアラジンの思考、その取捨選択ですね。
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※一緒に太陽を見に行こう!いいですね。
 奴隷のアイデンティティを望郷の念に結びつけるのは、鉄板とも言えて
 例えばアメリカに奴隷として連れてこられたアフリカの皆さんが
 どれだけその思いを綴り、アメリカ音楽を発展させてきたか…。
 身近なところでは(でも50年前)、ソウル・ミュージックのゴッドファーザー
 サム・クック様が明るい音色に紛れて(白人聴衆に届ける為)
 ハードコアにその気持ちを歌った

Chain Gang-Sam Cooke
 この歌によく出ています。
 あれが鎖につながれた囚人たちの働く音
 僕はもうすぐ故郷に帰るよ、でもまだ働かなきゃいけないんだ、と。

いつものようつべ脱線。

まず前提として、アラジンは世界の仕組み(奴隷制)自体に納得がいっていない。
『マギ』の物語が冒険活劇である理由と絡む、精神と肉体の自由の話なのでしょうね。
・・・で、納得がいっていないから少し前、モルジアナ(画像の少女)の鎖を外した。
今回、鎖を外したモルジアナがなお領主ジャミルに付き従う(制度に隷属する)様をみて
物質的な鎖とは違う、精神的な鎖があるんだな、という事は看破するのですが

それを僕が外してやる!という話にならない。

いやアラジンにそれだけの余裕と力があれば、彼はそれを行おうとするでしょう。
(考え方として「精神の鎖はお姉さんが外しなよ!」という可能性もなくはないが
それならアラジンは、謝らないですよね)
けれど彼は今、ダンジョンの中大事な友達・仲間である
アリババを助けなければならないし、悲しいことですが比較して
モルジアナは「おねえさん」なんですよね。名前を呼ぶ関係ではない。
「おねえさん」と「友達」。優先順位はサルでもわかります。

ここを、主人公特権、といいますか主人公の万能性に任せて
「俺は全部救ってやるぜぇぇぇl!!!」という物語もありますし
まぁそれ特有のカタルシスというものも、あるのですが。
今アリババは特別悩まず、すんなりとその自分の中の
「近しいものを優先する」という順位付けを行っていて
僕は結構、そこにシビれちゃいますね。
「ここに(この選択に)アラジンが“いる”!」と思います。
キャラクターに実感を覚えた瞬間、物語はキラキラしはじめますよ。

良い連載ですよねぇ~、欠点は
主人公と準主人公の名前がどっちも「ア」から始まってるせいで
たまに打ち間違い・呼び間違いしちゃうことくらいじゃね?
※自分だけですね
大高先生、編集さん、気をつけるんだ。いつか誤植があるぜえええええorz

という事で、とても好調です。
ジャンプでは「鍵人」がどうなるかなんですが…
『マギ』なんかと比べてバトル比率高めで展開していくようですから
そうなると、主人公ツバメの無敵気味なギミックと
バトル描写との兼ね合いが問題になってきますね。
まぁ、田中靖規さんという作家さんは前作『瞳のカトプレパス』」で
僕はJOJOが大好きだッ!!君の意見を聞こうッ!!
という宣言を、漫画のハシバシでされていた方ですので(?)
スタンドバトルを理解している場合、
ガチンコで能力と能力をぶつけあう必要はない
(相手の能力を知略や機転で脱して、自分の能力を行使できたら勝ち、という
先攻後攻気味の戦い)…って事も感覚でわかっているのでしょうから
何とかなるかもしれませんが。
ヒロインも可愛いし、頑張って欲しいですよねえ…。

チルダの声は高垣彩陽さん(以下略
モルジアナの声はあや(以下略

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