ニコマスの門外漢が『ぷよm@s』を思いっきり賞賛する

ニコニコ動画における『アイドルマスター』関連動画、
通称ニコマス。
β版時代の「とかちつくちて」は聴きまくっていたものの
すっかり距離を置いてはや数年。
しかし今回、未来私考のGiGiさんが、
脈絡があったのかなかったのかよくわからないような流れで
「ぷよm@s観なさい」と言ってきたので、とりあえず観てみる事に。
→その日のうちに最新話まで一気鑑賞。
これは素晴らしい体験、という事で
アイマス・ニコマス門外漢としても、
いや門外漢だからこそ賞賛しておこうと思います。

…と、ぷよm@sの話をする前に
とりあえず、門外漢から観たニコマスを少々語ってみましょうか。

僕のようにニコマスを
「否定はしていないけれど、観る気が起きない」人は
まずとんでもない動画数が象徴するような
ガラパゴス状態の独自進化に、今更割って入れるのか…?
入れるとしても、どれほどの労力を要するのか…?
というところで、挑む前に気疲れしてしまうのだと思います。
普通あれほどの動画数があったら、独自のリテラシーが発達しすぎて
一見さんじゃまるで理解できないような深部まで
到達してしまっているのではないか、と思いますよね。

ただ、『ぷよm@s』を観ている限り、それらの多くは杞憂でした。
勿論、この世界特有の
「前提情報」や「スラング」等はあるのでしょう。
とはいえ、思っていたほどではない。
勿論、情報の100%を味わうなら話は違ってくるでしょうが
効率的に8割ないし9割を堪能する分には
敷居は、予想よりずっと「低い」。
その感触から、「深さ」よりは「広さ」がニコマスなのかな、と
思ったりもしました。
(逆に僕の愛する『カブトボーグ』なんかは
 徹底的に「広さ」より「深さ」で
 鑑賞者を深遠に引きずり込むように、動画も設計されている)

どういう事かというと、もちろんデフォルトとしては
原作ゲームから存在するような、アイドルたちの
「記号・属性の芽」
(胸の大小であるとか、見た目年齢であるとか、大まかな性格付けであるとか)
を拡大し、話を作ったり演出したりはしているようなのですが
その芽から外れたものも、一定条件の下
積極的に受け容れているように思います。
その象徴的な言い回しが
「○○P(プロデューサー)の××(キャラ名)」というもので、
それこそ初音ミクの「調教」のように、手元に渡った時点で
ユーザーに多くの独自解釈の裁量が預けられ
かなり大胆なキャラ解釈も「幅」として楽しむ空気が存在する様子。
このコンセンサスがあると、一つの人格を徹底的に突き詰めるような
「縦軸の考察」というよりは
ありうべき幅を模索する、「横軸の堪能」に発展していくのですよね。
そして、それは前提情報をさほど要求しない、という事でもある。

僕は同人誌なんかだと、「こんな言動するわけがない」
的なところに、異常に厳しい人なので…この許容度は新鮮でした。
まあ『アイマス』自体ストーリーはさほど重要ではない
=作り手が提示する物語としては「薄い」、
という事実ありきだとは思いますが
その薄い中身に拘泥して「こんなの××じゃない」と言うよりは
「この(Pの、動画の)××はこうなのか」という咀嚼がまず行われ
その上で、その造形が気に入れば、独自用語として確立したりするし
(「黒春香」とか?知らないけどw)
その造形が気に入らなければ、その意見が多数ならば、
自然と再生数なりという形で「淘汰」されていく。

そうやって、様々な面を持つキャラクターというものが生まれるのですが
じゃあ、それら各所で生まれた人格を統合するような動きがあるかというと、
そういう事もないようで。
というか、各々が好き勝手に作ってきたのだから、いち人格として
完全に統合できるような「通る読み」なんて発見できるはずもなく
結果、黒い性格なら黒い性格、ピュアならピュアと
キャラクターの要素をそれぞれ並立させて
動画ごとに「この動画の××はアレか」というように当てはめていくようなのです。
(で、当てはめができなかった時は先ほど書いたように
 淘汰か許容か、更には新スタンダードかの判定が行われる)

ここでいち人格として「通そう」とすると、全ての要素を吟味し
全部に矛盾がないように…と大変な
(そして物語読みとしては「面白い」)事になるのですが
「違う雰囲気なら、同一人物でも別存在にしてしまおう」
というある種のおおらかさが、ニコマスを
よく言えば意外に間口の広い、
悪く言えば物語としての深みのない所にとどめていて。
それは、僕ら新参からすればありがたい話でもあります。
案外、手が届くという実感がある。

網羅的に、それら「様々な造形」を押さえていく
=ニコマスを俯瞰で観てやる!となると
それは勿論、多大な時間と大量の動画を観る事になるでしょうが
とりあえず、それらを統合するような「オフィシャルな」
(ナムコという意味ではなく、ニコマスの総意としての)
動きがないと思われる以上、
一つ一つの動画をある程度堪能する分には、
体系的な知識は想像以上に必要ナシです。
コメントを読んでいるだけで、殆どの場合
「基本(原典)のキャラクターがどう」で
「この動画でのキャラクターがどう」なのか、わかりましたから
「この動画でのこいつはこうなんだ」と掴まえておけば十分。
オフィシャルな造形からくるギャップなどの面白さも
コメントで大概わかります。

…さて。
ニコマスも案外観られるよ、と語ったところで
『ぷよm@s』です。
リストはこちら
アイドル達が、初代ぷよぷよ…というか
(ゲームギアのぷよはそもそもかわいくない…w)
『すーぱーぷよぷよ』の対戦をやりこむ物語です。
マイリストにも、何か作者の謙遜コメントが乗っておりますが
この作品の一番素晴らしい所は、彼が言っているような
展開でも、ネタでも、選曲でも、演出でもない。
それらもある程度高次で纏まってはいますが
何が素晴らしいって、アイマス2次創作を行いながら

初代ぷよぷよ対戦の深淵を、覗かせてくれるところ。

これこそが図抜けて素晴らしいのであって、
そういう意味ではジャンケンだなんだってのは
そもそも、比較対象たりえていない。
もしぷよm@sに少しでも魅力があるとしたら、それはぷよぷよの魅力であり、アイドルたちの魅力であり、そして使用させてもらっている音楽の魅力です。

この本人談も、ある程度正しいけれど、正鵠を射てはいないと思います。
ぷよm@sに魅力があるのは、作者が「初代ぷよぷよ対戦」の
コアを覗いた事があって、
そのコアを伝えようとしているから…です。
これ以外の何物でもないし、だからこそ心震える動画になっています。
その事について触れていきましょう。

初代ぷよぷよ対戦の肝は、「速さ」と「柔軟性」だ、と
この動画は教えてくれる。
通(2)で追加される、敵の攻撃を打ち消す
「相殺」システムがないことによって、
一瞬の先手後手で勝負が決まる初代世界は
「真剣での斬り合い」をイメージすると、大変にわかりやすいと思います。
基本は、先に刀を届かせた=連鎖を先に発動したもん勝ち。
刀をナマクラではなく、一撃必殺となるよう研いでおくことが
発動した瞬間ほぼオーバーキル確定な「致死連鎖」という考え方。

※ちなみに、ペチペチと2連鎖で邪魔したりするのは
 竹光をブンブン振ってるようなものですね。

致死連鎖に届かせつつ、相手より先に発動する。
剣の世界に居合い抜きがあるように、その目的を突き詰めていくと
本来「連鎖数をこそカタルシスとする」ぷよぷよ世界にあって
(ふぁいあー♪あいすすとーむ♪だいやしゅーと♪…)
「連鎖の少ない致死連鎖が最速」という考えが出てくる。
連鎖のエフェクトそのものが、タイムロスという考え方。
この時点で、一般的な「ぷよぷよ」価値観からすると
パラダイムシフトもいいところです。
そこで今は亡きゲーム雑誌、ゲーメストの
ハッタリの効きまくった技名
「ヘルファイアー」や「デスタワー」が出てきて
必殺技物語としてもおおいに盛り上がってくるのですが
(特にデスタワーは、血が滾ります)

更には、降ってくるぷよ(配ぷよ)のランダム性に対し
どこまで、あらゆるケースでも速度を落とさず対応できるか、という
「柔軟性」も問われる事になる。
柔軟性は、配ぷよに限らず
相手の様々な戦法に、どこまで対応できるか、というのも含みますが
この、F1のような「速さ」の追求と
対戦相手や状況を見て、
どこまで対応できるかという「柔らかさ」の追求。
そのギリギリの時間削りと、対応の幅広さの両立がどこまで成るか。
まさしく1度切り結べば終わる、ヒリヒリした闘いが描かれています。

更に2010年2月現在の最新話(16話)では
真が縦型中央のハンバーガー連鎖の応用から
「カウンター」を開発。
カウンターといっても、後出し相殺はないシステムなので
ちょっと他ゲームのそれとは違います。

致死連鎖とはいえ、一気に天井に積みあがるのではなく
1度には、赤玉1度分までしか
おじゃまぷよが落ちてこない、という
システム上の最大攻撃量を利用。
その赤玉一個分のお邪魔ぷよが振ってきた時に
タイミングを合わせ、縦型連鎖を発動。
まわりのおじゃまぷよを消し去りながら連鎖は下まで及び
自分は敗北から遠ざかるとともに
相手にはほぼ致死連鎖を送り込む…というこの大技は
ここまでの『ぷよm@s』の基本理念であり
皆がコンマ数秒の削りあいをしてきた
「速さ」を、なんと必要不可欠のものとしない
(相手の連鎖が終わり、赤玉分が降ってくるまでに準備しておけばいい)
という、2度目のパラダイムシフト宣言なのでした。

しかしそれを最速の天才、2連鎖(ファイアー)だけで
致死連鎖まで、あらゆるケースでも持っていく天才・美希が
速攻で「待った」。一発で否定し、次回の真対美希に続くようで
ベジータとトランクスの
「超サイヤ人を越えた超サイヤ人」が速攻で否定されたような
超熱いインフレ展開になっています。
いや、超サイヤ人2はなんかギャグみたいだったから
こっちのがいいな(笑)。

※同時に連鎖開始した場合、いや少し遅れても
 縦型のハンバーガー5連鎖と2連クアドラブルでは
 後者が圧倒的に先に攻撃を発動させられるから…
 カウンターに対し「見」の姿勢を取るのかな?
 ぺちぺちでタイミング狂わす手もありそうだが
 完璧主義な美希のスタイルではないかな…
 ↑美希のスタイル、とか言い出すアイマス初心者

各々が、各々の連鎖技を駆使して戦うこの世界は
将棋の定跡のような、戦形を探求するロマンがあります。
それでいて配ぷよのランダム性と、
5(10)勝先取という多すぎず少なすぎない試合数が絶妙で…
理想の戦形を競う側面を持ちながらも、
運を排しきれるような試合数でもないため
最終的には、モチベーションや運不運、
それを持ち込む気持ちの部分、といった
少年漫画の要素まで踏み込めるんですよね。
そこがまた、わかりやすくていい所です。
これが100勝先取なら、もうちょっとドライに理想の戦形に
一気にたどり着きますし、
これが1勝先取なら、運ゲー過ぎてナントモ・・・ですから。

…ここまで書いてきて、先ほどの作者発言引用に戻ります。
もしぷよm@sに少しでも魅力があるとしたら、それはぷよぷよの魅力であり、アイドルたちの魅力であり、そして使用させてもらっている音楽の魅力です。

今書いたそれらは、まさに「ぷよぷよの魅力」そのものではないのか?
作者さんの言う通りではないか。
それが何故、「正鵠を射ていない」という判定になるのか?と
気になるかもしれません。
しかしです。言わせてもらえば

本来、世界のどんなささいな分野でも、
時間かけて掘れば面白いものはたくさんある

そんなのは、ぷよぷよに限った話じゃない。
だから僕は「ぷよぷよの魅力がぷよm@sの魅力」という理屈に反対なのです。

…繰り返しますが、世界には面白いもの、魅力あるものは沢山ある。
けれど僕らは有限の時を生きていて、それら全てに触れてはいけないから
泣く泣くセンサーを絞り、選択する。
それが趣味と言われたりするものですが
そうやってセンサーを絞ったものは、かけた時間や情熱に比例して
理解が深く進み…その面白さの「コア」みたいなものに、辿り付けるんですよね。
そのコアは、社会の成り立ちを知るようなコアであれ
今回のように、いちゲームのコアであれ、コアである事に変わりはない。
勿論得られる面白さが等しいとは言いませんが、
コアを知る事それ自体は問答無用に「面白い」というのが、僕のスタンスです。

その、自分が本来辿りつき得なかったようなコアを
横から覗き見させてもらっているというのが、この動画。
だから、ぷよm@sは面白い。
つまり、ぷよm@sの魅力は、ぷよぷよの魅力にあるのではなく
ある分野のコアにたどり着いた人が、
それをエンターテイメントの形で
わかりやすくお裾分けしてくれる、その贅沢さにあります。
確かに「たかが」いちゲームの、いちルールです。
(対戦じゃないとまた別の価値観ですからね。僕は落ちゲーは
最高速度が鬼レベルになった状態で粘るのが好き。
こりゃ何日やっても絶対死なない、という最高速度だと
それだけでガッカリする。GBやDSのテトリスとか)
しかし「されど」いちゲームの、いちルール。
この世界を形成する、数多くの「不思議」の一つはここにあって
自分がそこに情熱や時間を割いたわけでもないのに
その深淵をチラ見させてもらえるんですよ?
こんなオトクな事あっていいのかしら、な素晴らしい動画です。
ニコマス門外漢がこういうんだから、万人にオススメ、です。

しかし、欠点がただ一つ…

まだ終わってないっていうorz

2009年1月から始まって、ようやく16話なこの動画を
一日で一気に見て、さあここからはリアルタイムで
いつとは知れぬ最新話投稿を待ちましょうね~…って
何その地獄!orz
GiGiさん、終わってから紹介してよ!←無茶言ってる
くそう、彼の待ちきれない気持ちを共有するように謀られました。
酷い人ですね。※ルイくんはGiGiさんを尊敬しています。

まあ、でも、こんな文章書く時点で僕も同じですね(笑)。
みんなで観よう!そしてその後皆で悶々と待とう!

酷い人ですね。

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    Excerpt: 大人気アクションパズルゲーム Weblog: ゲーム攻略サイト racked: 2010-11-18 14:10
  • ぷよm@sが楽しい。

    Excerpt: ひょんなことから、ニコニコ動画に「ぷよm@s」なる動画があることを知った私。 Weblog: 日記というか何というか・・・ racked: 2014-02-05 12:54