月刊Vジャンプ・コミック版『エレメントハンター』(中島諭宇樹)第1巻

前回『ねこわっぱ』の記事を書いた際
同じ電光石火の打ち切り仲間で、かつ
「俺は期待してたんだよおお」仲間という事で
中島諭宇樹先生『切法師』の名前を出しました。
その際、検索によって
現在彼が『エレメントハンター』の
漫画版を描いている、と知り
…期待打ち切り仲間として名前を出した手前(笑)
一応押えておくか、と今更購入。

エレメントハンター 1 (ジャンプコミックス)
集英社
中島 諭宇樹

ユーザレビュー:
一粒で、二度美味しい ...
アニメファンの感想私 ...
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ちなみに、アニメをほっとんど押さえている自分ですが
『エレメントハンター』は押さえてなかったりします。
別に、特別外そうとして外したわけじゃあないんですけど
録画ミス等が重なると自然と…。
とにかくそういうわけなので、原作シラズです。

物語世界は21世紀末の日本、
世界の各地で「元素消失現象」が発生する中
大部分が壊滅した元首都・東京。
「元素消失現象」とは文字通り、その地域の特定元素が
なくなる、というもので
一つ元素がなくなれば、その元素ありきで構成される
すべてのものが影響を受けますから、
言葉の響き以上にとんでもない現象です。
人体形成する何かしらの元素が失われたら、ほぼアウトですし
実際作中では、真ヒロイン?
アリー・コナリーの家族たちが
水素を失って、灰になって消えてしまったそうです。
なんたるハード設定…。

政府高官や要人はスペースコロニーに非難し
同時に問題解決の為「エレメントハンター」を組織。
「もう一つの地球」に向かい
そこにいる怪物=QEXを倒し、元素を取り戻すのが目的の
エレメントハンターは、別次元の地球を認識するために
誰もが生まれながらに持っていて、しかし
すぐに退化し、失われてしまう「次元フィルターローブ」を
ある程度の年齢まで維持している、
選ばれた子供にしか務められない。

と、いうあたりで13歳~14歳あたりの
いわゆる「エヴァ世代」少年活劇モノである理由付け終了。
設定的に近いのは、エヴァンゲリオンというよりは
同社ガイナックス作品『トップをねらえ2!』の
「トップレス」が近い。
子供の頃持っていて、歳を経ると喪失される能力は
一つの「童心」や「全能感」の表現。
読んでいてすぐ思い出しましたし、
実際先輩ハンター、アリー・コナリーは
作中で「卒業」間近となり苦しんでいる。
『トップ2』を観た人で、ここを読んで
「あがり」を思い出さなかった人は、まずいないでしょう。

誰もが巣立たなければならない「子供時代」と
わかっていながらそれにしがみつきたい、という感覚は
ピーターパンシンドロームなどとリンクして
スッと入ってくるものではある。
勿論、アリー・コナリーは前述の通り
家族や地元の人を、水素消失によって
むごたらしく失ったわけですから、
その皆の為にも、なるたけエレメントハンターに
しがみつきたい!というのは、当然の欲求なんですけどね。

ただ、他のメンバーの中には
あるいは突き詰めればアリーのような人物の中にも
「選ばれた人間として皆にチヤホヤされる」
エレメントハンターへの優越意識といったものは、
潜在的に存在しているかもしれず。
そこを強調すると「トップ2」になるわけで…
別にこの作品は、そういう描き方はしていないのですが
(だからこそ、最も卒業が近い
 =あがりをむかえたくない、しがみつきたいアリーに
 ハードな設定が用意されている)
まあ、設定的にあまりに近いので、
そういう「裏」を見たくなる要素は色々存在しますね。

敵怪物・QEXとのバトルギミックは、
相手の構成元素をまず分析。
その元素に何らかの他元素を加える事で
化学変化を促し、そこをつく…といった類。
『トップ』のようなハード設定を抱えながら、
単純には良い子が元素周期表を覚えて
パズルゲーム感覚で化学変化も覚えていこうね☆という
「表向きの」為になるっぷりも用意されていて
なるほど、NHKで放映されるだけはあるなと。
そういう意味で、なかなか如才ない企画です。
録画ミスんなきゃアニメもなぁ…orz

主人公・レンたち3人は
政府公式のエレメントハンターというわけではなく
色々自由な感じで、冒険世界を楽しむ
良い意味での「ゆとり」を残している。
しかし一方で、コロニーから出撃する
公式エレメントハンターと違い、地球上にいるのだから
本当に、「寝たら2度と起きられないかもしれない世界」
に、日々生きているわけで…
その「世界のハードさ」への皮膚感覚的な近さは
比べ物にならないくらい高かったりして、
単なる楽観・童心側から物語を観る存在でもない。
その辺の設定が、面白いバランス感覚になっています。
まあ、基本的にはレン達のポジティブな要素でもって、
アリーのようなエリートエレメントハンターの気持ちを動かす…
という基本構造ではあります。
その根っこに「いつ消えるかわからない世界の住人」
という設定がある事で、彼らの楽天性に受け手がある種の
「覚悟」を見てしまう(だから責める気にならない)
というような、イイカンジの底支え構造ですね。

で、こまけぇ事はいいんです(笑)。
作品としても色々面白かったのは確かですが、
僕はあくまでキッカケ上
「中島諭宇樹作品」として読ませて頂きました。

元々、画力があり
『切法師』の頃から画こそ魅力的だったお人なのですが、
予め設定があることで、
生き生きとしたキャラクター原案や設定が用意されており
お陰で、ジャンプ打ち切り作家にありがちな
「キャラ・設定(ギミック)の弱さ」があまり問題になっていない。
やはりこの人は、原作者・あるいは今回のように
明確な「原作」があると良かったんだなあと思わされます。
ちなみに、例の(?)
毎週週刊少年誌を語る「今週の一番」にも
しっかり切法師最終回時のログが残っております。
なんと2005年10月!4年以上前!
僕は参加したばかりの頃ですが…
やっぱり継続は力なんですねえ(笑)。

GiGi >> 「切法師」は最後までマイペース。この執着のなさは、週刊作家には向かないかもなぁ。
ルイ >> てか、こんなにキャラ作ってるなら最初から出しましょうよ!
SNARK >> 「もうちっと面倒見てやる」ならせめて月刊とか赤マルとか行きましょうよ・・・wこのオッサン達ちょっと見たいですよ。
LD >> 姉ちゃんが乗っている紙細工がひたすら気になりますが(笑)
ルイ >> 今回の話って結構深みがあって、確かにこの展開ありきだとあの猿ボスも旨味のある存在に見えるんだよなぁ。もうとにもかくにも、出す順間違いだな。
GiGi >> 順間違いというか、手練手管なく積んだだけという印象ですね。人気の出なさそうなエピソードは後回しとか、そうゆうその場しのぎをしなきゃいけない場面もあるという話で。
LD >> だからあれほど姉ちゃんを連れて行けと…(笑)
ルイ >> いやー、惜しい(笑)ここで終わるべくして終わる連載だったのは確かなんですが、助走つまづきさえ許せる雑誌ならなぁ・・ジャンプはなぁ・・w
SNARK >> そうですね。お披露目が済んですぐこの話ならよかったのに。
SNARK >> 早いとこ切って新作をとも思うので、惜しみつつも見送りますが。しかし「打ち切り法師」とはよく言ったもんだなw
GiGi >> まあ、最初の村のエピソードは作者のポリシーとしても、ケンタウロス倒したあと、この展開なら持ち直す目もあったと思うんですけどね。
ルイ >> フム、やっぱタイトルに「落」とか「切」とかつけちゃダメってことですね(え?)!w
GiGi >> あの時点で打ち切り決まったとしても、その後の5、6話の使い方がねぇ…んーしかし絵柄もネームも基本的には少年漫画向きの人だしなぁ。
ルイ >> 最初の村のエピソードで、村人が団結するまではあのペースでいいとして・・そのあと人外と闘い過ぎましたね。駒も出さないままに。
ルイ >> そうそう、人外デザインとしては牙銀@結界師に通じるものがありw
LD >> う~ん、思ったのはキャラのデッサンや表情はいいのだけど、妖怪や異世界のような人外デザインに難があるかなと。やっぱりスポーツマンガとかで現実の世界を描く方が向いてるような気がする。>中島先生
LD >> 倫太郎は多分、バスケットをやると栄えるよ?(笑)
ルイ >> いや倫太郎はねぇ、大正~昭和あたりの時代SFをやらせるのがいいかなと(笑)。機関車とかイイ感じに書き込んでくれそうw
SNARK >> 一瞬テニスを、とか思ったけど、今やるわけにはいかないなwいや、サッカーか?
GiGi >> SFマインドはまったく感じないからなーしかしw。やっぱりスポーツ漫画か…相撲とかとらせようw。
SNARK >> 妖怪はあんなもんじゃないですかね。ケット・シーとカイ鬼連の連中はともかく。
GiGi >> やあ、そのケットシーが最大の難という話もw
LD >> いや、ハヌマンとかが上手く言っているのは、現実のヒヒを上手く“漫画”化しているからであって、そういう現実のものを”漫画”に変える能力は秀でたものがある人だと思います。…だから現実に居ない”鬼”を描かせるだけで突然クオリティが落る。
ルイ >> いや、史実に則って描かない限り、過去バナなんて全部SFですよwそれこそガンガン連載みたいなのも、SFデスヨw・・・なんにせよ、もう1回なんらかの形でチャンスを与えて欲しいですね。原作者つきかな?
LD >> い~やバスケだ!じゃなかったらカバティ!w
ルイ >> 男女混合が許されず、仲間複数人のキャラ立ちを要求するバスケですか?うーん・・・ゴルフですね!w
LD >> じゃあ、体操だ!「ガンバ!FlyHigh」!
GiGi >> いや、競馬に使用競馬にw
SNARK >> 言いたい放題だw
ルイ >> まあ、それくらい勿体無い画才があるということでw
SNARK >> そもそも、わざわざ洋モノの当て字なんかせんでも・・・
GiGi >> そのあたり(当て字)が如実なんですけど、自分の中にファンタジー(=SFマインド)がない人なんですよね。でなければとても恥ずかしくてあんな真似は出来ないw。ちょっとデビュー作を確認したい気分だ。
LD >> デビューかどうかは知りませんが「人造人間ガロン」の人です。基本的に「パタパタ飛行船」…じゃなくって「ナディア」かハヤオ系を描けると嬉しい人だと思います。
SNARK >> もしかして鬼とか妖怪は全て外つ国から来たとかいうネタだったのか?
ルイ >> 確かにワザの名前もノーセンスだったしなーw
GiGi >> ともかくも、次はいい担当さんがつくと良いね!ということで。


「週刊には向かない」
「絵柄もネームも少年漫画向き」
「SFを描いて欲しい」
「が、SFマインドはない(センスない)」
「原作者つき?」
「ナディアかハヤオ系を描けると嬉しい」

という、なかなか美味しいキーワードがしっかり残されているのが
興味深いですね。特に面白いのが
SF的、といっても日常の香りが残るレベルのSFを
「画的」に向いてるとは思いながらも
ネーミングや設定のセンスはあまり感じない、という話。
じゃあ必然的に、原作者つけるしかないじゃん、というのが
当時の感想だったわけですが、今回のように
「コミカライズ」というものも十分にその解答たりえるもの。
設定は用意されていますし、その世界が
「もう一つの地球」=飛びぬけた創作SF世界でもない。
ゆえに、画力に根ざした現実感覚を利用しながら
まさに「未来少年コナン」のような、描きたい世界を描ける、と。
こう過去ログを見ながら『エレメントハンター』を読んでみると
中島先生という漫画家にとっては
ある意味理想的な、楽園のようなポジションなんだなあと
しみじみ感じます。良かった良かった。
『ねこわっぱ』の松本先生も、4年やってりゃ
急に自分で描けなくなった鳥山明原作とかもらえるかもよ!
↑ドリーマー

切法師当時の印象からすると、デッサン力であったり
表情は相変わらずバッチリなんですが、
あんまり大ゴマを使わなくなったな、という印象があります。
まあ、「週刊少年ジャンプ」という
掴みがないなら死ね!!!(意訳)
という世界でのネームと、原作つきである程度安泰かつ
色々設定消化にコマも使う、Vジャンプ作品のネームでは
単純比較するのも無理があるんですけどね。
ただ、見栄えを重視するならもうちょっと
ぶちぬきの全身画など、入れようはあるなぁ…と思いました。

その辺、中島先生の画に魅力があるのが「許せる」ポイントで
見せゴマはあまりないものの、小さなコマのキャラも
魅力的に描けていて「抜き」がない為
全体的には、大ゴマが少ない為開放感には乏しいけれど
満足感は高い…という、
画力のある人にしか許されないような状態に。
で、そんな風に大ゴマを滅多に出さない連載だからこそ
時に存在する大ゴマが、演出効果が高かったりして。
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この、コロニーを脱出し、地球に降りてくる
アリーを迎える「お帰りアリー(ウェルカムバック・アリー)」の回は
メチャクチャ良かったです。一番候補です(ハア?)。

そもそも、このアリーというキャラクターが
とても魅力的なんですよねえ…
レンの奔放で前向きな生き方に、
人生を変えられるキャラクターなんですけど
なんかね、もうね、かわいいの←語彙力皆無
レンのパーティにはキサラという
キュートなツンデレちゃんもいるんですけど、
第一巻に関しては完全部外者。
だって、エレメントハンターの活動中に、
自分のハードな生い立ちを話したら
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踏まれてもへこたれないタンポポみたい、と
花をプレゼントされ。
その演出だけならまだしも、なんと
命がけのコロニー脱出の際
※政府に隠れての脱走の為、ポンコツポッドでの脱出
パラシュートにトラブルが起こり、振動の中
1人震える彼女が呟くのは…
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大丈夫…
私は…
私はタンポポでしょう…!?


(´;ω;`)ブワッ

ちょ、レンに言われたたとえ話ひとつ支えに
ポンコツ大気圏突入の恐怖に耐えてる…!
可愛すぎて全俺が萌えた
↑こういうのに萌える人らしい
そこで、王子様=レンが登場するわけです!
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この瞬間だけ、最大風速で
『天空の城ラピュタ』越えただろうJK…。

と、意味のわからないことを言っている僕はさておき
もうちょっと画の魅力に正直になって、
全身画とかも描いて欲しかったりはしますが
中島諭宇樹という漫画家が『切法師』を打ち切られてから
紆余曲折を経て、彼の「場所」を見つけたと考えれば
大変に感慨深く、大変に魅力的な作品ではあります。
買い続けてあげよっと。
本当、たまたま『ねこわっぱ』記事で名前出さなければ
この漫画を買う日は、永遠にこなかったかもしれないのですが
あそこで名前を出せたのは、ずっと意識の底に残していたから。
そういう意味では、興味の「種」は、本当人を裏切らないというか
面白い時に、面白い芽を芽吹かせてくれます。
単なる「ジャンプの速攻打ち切り作品」というタグ付けですら
こういう「面白さ」に繋がりうるんだから、人生面白いですよね。

よーし、今日も打ち切り作品読むぞー!!←間違った学習

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