HEROES FOREVER 三沢光晴という物語

※思い出語りです。

9月27日、日本武道館で開催される、プロレスリングNOAHの興行
『GREAT VOYAGE '09 in TOKYO ~Mitsuharu Misawa,always in our hearts~』。
去る6月13日、試合中の事故で亡くなった
前NOAH社長、三沢光晴選手の追悼興行です。
現在NOAHのホームページでは、グッズの紹介などもされているのですが、
『三沢光晴×仮面ライダーWコラボTシャツ「HEROES FOREVER」』
というものをリストの中に見つけ、とても合点がいったというか
「ああ、そうだったんだな」と腑に落ちるものがありました。

三沢光晴は、自分にとっての仮面ライダーだった。
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子供の頃、プロレスを観た事はなかった。
地元は、「理想の自然環境」をイメージしたと思しき
「ぼくのなつやすみ」あたりの舞台などと比較しても
まるでヒケを取らない、いや圧勝なのでは?というほど
すさまじく恵まれた自然に囲まれていた。
小川、ダム、海、山、水芭蕉、公園…
これらが全て、生活半径の中にあった。
駄菓子屋が三軒隣、逆側には個人スーパー
自宅の裏が公園に直結
自宅から30秒も歩ければトンネル付、ザリガニも取れる小川。
そんな、地元自体が大きな遊び場とも思える環境で
プロレスにまで手を伸ばす事はなかった。

知ったきっかけは、関東に引っ越してきた時。
都市部と言えど、北海道は北海道。
自分の気付かない所で、イントネーションは若干特徴的。
「なまら」「だべ」の子供には、場に溶け込むキッカケが欲しかった。
最初のうちは、とにかく皆の色々な話題に入り込み
知ったかぶりでもいいから、接点を持とうともがいていた。
そんな時、聞かれた質問の1つ
「お前、新日派?全日派?」

シンニチ、ってなんだ。ゼンニチ、ってなんだ。
まったくわからない。
けれど、知っている風で話を聞いていると
「新日は猪木で、全日は馬場」らしい。
バラエティ番組に出ていて、馬場を知っていたことと
その聞いてきた子が、新日派だった事から
「新日派と言ってもボロが出るだろう」という打算もあり
「全日派」と答えた。
本当に何の虚飾もない、バカバカしいくらいの馴れ初め。
けれど今でも、そのくだらない偶然に感謝しています。

話題のネタを仕入れる為、ボロを出さない為観はじめたプロレスを
ワクワクしながら観るようになるのに、時間はかからなかった。
躍動する肉体。痛みに耐える表情の美しさ。汚くない汗。
何も知らず、唐突にプロレスを観た僕には
全日本プロレスが志向していた
試合内完全決着、リングの外でアングルを作らない
…そんなスタンスが、大変に観やすかった。
だって、いつ観始めても
そこには100%で戦う、男たちの肉体だけがあったのだから。

そんな中でも惹かれたのは、緑のタイツを身にまとった人。
実況は、解説は「エース」「エース」と呼ぶ。
なら、彼がナンバーワンなのだろう。
けれど、素人目にも
もっと大きな人
もっと腕の太い人
…沢山いた。
対して「緑の人」は、決して大きくは見えなかったし
僕の観ている時は、包帯をグルグルに巻いて
いかにも怪我をしているような時が多かった。
それでも、強烈に蹴り上げられ、投げられながら
ゆらっと立ち上がる、緑の人。
特別、何かを喋ってもらう必要はなかった。
その「食らっても、食らっても、立ち上がる」という様は
何より雄弁に、僕の胸を打った。

栄光と、それに比例して様々な傷を増やしていく彼に
様々な「呼び名」がある事は、徐々に知った。
四天王。
エルボーの貴公子。
ガラスのエース。
ゾンビ。
けれど何より惹かれたのは
「受けの天才」。
相撲やボクシングは観てきたけれど
相手の攻撃を受ける事が、強さの表現たりえるなんて
考えた事もなかった。
一方で、郷土の英雄・千代の富士を観ていて
「横綱相撲の何たるか」という感覚は漠然とあり
相手の攻撃を真正面から受け止め、下すことが
カッコイイ事なんだ、という感覚は
予めもっていたような気はします。


彼の姿を思い出す時、いつも浮かぶのは
マットに大の字になっている姿。
そして、そこから苦悶の、しかし鬼気迫る表情を浮かべ
立ち上がる姿。
勝利を積み重ねているのだから、3カウントを奪う時
ベルトを掲げる姿…もっと相応しい瞬間はあるはずなのに
やっぱり僕の中の彼は、攻撃を受けている時の彼だった。
相手の技を大きく受け止め、相手を映えさせ、その上で勝つ。
そうすれば「強い敵をさらに凌駕した」事になるし
相手も「自分は出し切った」と納得がいく。

プロレスは、人生における都合の良くない事も
受け入れるという事を表現していた。と、思う。
「無傷の勝利」なんてものは基本存在しない。
相手の良さも受け止め、その上で立ち上がり、勝つ。
その姿はただのスポーツの枠を越え
1つの「生き方」の宣言をしているように思えた。

僕は、決して「熱狂的プロレスファン」ではない。
彼の試合だって、全てを
つぶさにチェックしていたわけではない。
けれど、彼はヒーローだったし、大きな影響を与えてくれた。
人と話していても、相手を光らせる事を知らない人の喋りには
人間的な魅力を感じられない。
それが出来る人は、本当に大きい人なんだなあ、と思い
憧れる。
言葉とプロレス、世界は違えど
大切な根っこを与えてくれた人である事に、疑いはない。

6月13日、ニュースサイトのトップを開いた時
「心肺停止」のニュースが踊っていた。
普段、トップニュースにプロレスの記事が来る事なんてない。
目を疑ったし、慌てて巨大匿名掲示板に行き、確認をした。
そこは普段から、他人を茶化し、馬鹿にする事が恒例化している場所で
僕はそこが大嫌いだった。
自分の尊敬する人をあしざまに言われて、
気持ちのいい人間なんていない。
だから、ずっと覗いていなかったのだけれど…
かつて罵詈雑言に溢れていた、最低の場所は
祈りが溢れる、悲痛な場所になっていた。
彼の為に千羽鶴を折るスレ、無事を祈るスレ。
僕もそれに参加しながら、こんな電子記号の1つ1つが
想いになって、届けばいいのにと祈った。

物凄いペースで更新キーを押しながら、情報を追っていると
ある瞬間、ニュースの「心肺停止」が「死亡」になった。
その時の気持ちは、何と表現すればいいのか…
家族、愛犬、友人。大切な人達は数多く喪ってきたし
その人達と比べ、彼が「近い」という事はないのに
とにかくその瞬間から、涙が滝のように落ちてきて
(まったくの誇張表現ではなく)止まらなくなった。

涙の量が悲しみに比例する、なんて事はないと思う。
そんな単純な言い切りは、涙をこらえ、悲しみに暮れる人に失礼だ。
僕自身だって、大切な、大切な存在を喪った時
ただただ呆然として、涙が出なかった事だってある。
人間の感情は、そこまで単純なメカニズムではない。
けれど1つの事実として、ただただ泣いた。
元から涙脆い事は知っていたけれど
人が6時間も7時間も、床に雫がこぼれるようなレベルで
号泣し続けられる生き物だなんて、知りもしなかった。
その時はニコニコ動画の、ただテーマ曲が流れる動画を観ていたのだけれど

何故か、不思議と、しかし絶対に
音楽の中「みっさっわ!みっさっわ!」とコールが聞こえてきた。
人は幻聴と言うけれど
書き込みを見ていると、自分だけじゃなかった。
あの時動画を観ている人の多くに、それが流れていたというのなら
きっとそれは本当に、流れていたのだと信じている。
デジタルなデータには収められていないはずの情報に
それを共有させ、現出させる想いの力に、心が震えた。

僕らの世代は、ちょうど仮面ライダーやウルトラマンの空白期に属している
…と、思っている。
実際は北海道にいた為、疎かっただけかもしれないけれど
やはり、自分達の世代に「俺たちの世代は仮面ライダー○○」
であるとか「ウルトラマン○○」だ、という共通認識はないと思う。
再放送などで、勿論観てはいたけれど。
そんな「ヒーローのいない世代」…いや、世代で語るのは単純か。
ファンタジーヒーローのいなかった自分には、ヒーローはリアルの中にいて
その中の巨大な1人が、彼。
三沢光晴だったのでしょう。
今回、仮面ライダーとTシャツで並び立つ彼を見て
それを見る自分の、あまりの違和感のなさに
再確認した次第です。
三沢光晴は、特別多くの事を喋る人間ではなかったから
文字を愛でる、物語を愛でる、理屈っぽい僕との
相性は、よくないようにも思える。

けれど、物語は文字や絵のみに宿るわけではない。

三沢光晴という名の物語は、本当に素晴らしかった。
10年に1つの傑作・名作だった。
物語を愛する身として、そう思いますし
彼や音楽の存在が、それらもまた
最高の物語だと信じたい僕自身の心が
自らに、物語至上主義的でありながら、
一種の柔らかさというか
幅の広さをもたらしてくれているなら、こんな嬉しい事はありません。
実際はまだまだなんですけどね。

結局名前を知ってから10年以上、彼は僕にとって
唯一無二のプロレスラーであり続けたし、今も敬愛している。
子供の時、はじめてサインを貰ったのは原辰徳。
彼が素晴らしい人間であり、
今もなお応援し続けられている事は本当に幸せだ。
有名人を大好きだと宣言するという事は、僕にとって
これくらい重たいし、揺らがないことです。
自分の価値観をさらけ出して、賭けてまで
宣言するような、尊いものだと思っています。
可愛い?かっこいい?それだけじゃ動けない。
いかにも言い様が重たいので、コイツそのうち
ストーキングとかするんじゃねーかとか(笑)
思われてしまうかもしれないのですが、そういう事ではなく
ただただ心の中に、大切に置くもの。それが憧れなのでしょうし
そういう姿勢でもって

当ブログは、声優・高垣彩陽さんを応援するブログなのです。
※結局それか
三沢光晴DVD-BOX~緑の方舟~(6枚組)
VAP,INC(VAP)(D)
2009-09-16

ユーザレビュー:
三沢光晴☆最高!この ...
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ゲェーッ、何この安さ!20000円が14000円に!?
買うしかないだろう!!
↑別にNOAHの回し者ぢゃないよ…

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