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zoom RSS 『マイマイ新子と千年の魔法』 Magic is everywhere

<<   作成日時 : 2010/05/11 01:52   >>

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5月9日、新宿バルト9で上映された
映画『マイマイ新子と千年の魔法』を観てきました。
最初に言っておくと、まあ傑作です。
漠然とした状態でも、個別演出の巧さで合格点を与えてしまえる作品で、
それゆえに「うまく言えないけど素晴らしい」という形で
更に興味の連鎖を生み…結果、今のような
口コミでロングランに至っているのだと思います。
言語化できない人にも「行った、見た、良かった」
と言わしめるのは、作品の出来ゆえ。
ただ、僕はそれだけじゃ満足できないタチなので
いつも通り、言葉の不完全さを認めた上で、言葉で消化します。

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今知ったのですが、映像ソフト化が決定しているそうで…
そこまで待つのも手かな?でも、劇場で観ていい作品ですよ。

それにしても今回の鑑賞は若干特殊でした。
元々事前情報を仕入れるタイプではないとはいえ、

「誰が作ったのか知らない」
「話に関わる情報は皆無」
「絵一枚すら見た事がない」

という、さすがにここまでは、という程の徒手空拳。
普通、そうは言っても
例えば映画館前や館内にポスターが飾られていたり、
例えばグッズで目にしたり…何かしら目にする機会はある。
ところが今回、チケット予約はふと思い立ってネット予約ですし、
バルト9ではマイマイ新子の広告やポスターは無し。
なおかつ、パンフレット品切れ(!)という奇跡の条件があわさり

画像

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真・まっさら状態で鑑賞する事に。
これはこれで、貴重な体験です。
事前情報が、知らず、
作品の不備な部分に助け舟を出してしまう事もある。
作品は、開始から終了までに情報を込めるのが当然とはいえ
見辛い部分、説明不足の部分を評判や事前情報に頼るという事は
日常的に行われており、寧ろ今回のような
完全なゼロからの鑑賞なんて機会は、そうないでしょう。
(しかし、再上映初日なら、パンフくらい手に入るようにして欲しいものです…)

何も撮影するものがないので仕方なく自分のチケットを撮影。
画像

オンラインチケット予約KINEZOgが、とても快適なバルト9。
ちなみに、ここは当ブログの太陽こと
声優・高垣彩陽さんが吹き替え版『紀元前一万年』を
お婆ちゃんと(お母さんも?)一緒に見た、
ある意味聖地なんだぜ。これ豆知識な。
…いや、単に東京で上映しているのがここだけであって、、
ストーカー意識で選んだわけでは…(笑)。

座席はG-8。
今回の上映館、バルト9シアター2の座席表からの印象だと
中心に見えるのは6や7あたりでも、実際は8と9がセンター。
真ん中後ろのセンター、おそらく最高クラスのポジションに感謝感激。
映画を観る時は、KINEZOで予約しよう(宣伝)!

さて、本編。
演出の精度が高いため、個別語りすると
延々語れてしまう。
ただ、それを語ると激しすぎるネタバレを行ってしまうので、
もう少しざっくり目に…


Revival(Love is everywhere) - The Allman Brothers Band

今回のBGM。
オールマンブラザーズの歌モノなら、これかメリッサ…
インストを含むと沢山。


『マイマイ新子』を一言で表すなら、感性のリバイバル。
瑞々しい感性、イマジネーションの素晴らしさと
その限界を示しつつも、更にその限界を知ってなお
踏み越える「一周する事」の尊さを謳った
とてもリアリスティックかつロマンティックな、想像賛歌。
それを「土地」と「時代」のエネルギーを活用する事で
地続きのまま達成してみせた、見事な作品です。

主な視聴対象は、まず間違いなく大人。
なぜなら、子供はリバイバルするまでもなく、
今まさに「その時」にあるから。
かつて子供だった僕らが、優れた描写によって
実存にあふれた子供の目線を通し、
失ったものと、失ってはいけないものを再認識させられる…
極端に言えば、そのためにある物語。

この作品タイトルは、当然
スタジオジブリのヒット法則に則って決められたのでしょうが、
「魔法」というタイトルが良いフックになっています。
最初に言ってしまうと、この作品に超常的な意味での
魔法なんてものは、何一つ存在しない。
僕が観ていた中では、最高で
異様に揺れる新子のマイマイ(おでこの上にあるつむじの所のハネ髪)
くらい(笑)。あれが作品最大の超常現象。
しかし、一方で魔法にありふれた作品でもある。
その魔法は、対価を必要としたり、詠唱する必要のない魔法。
無から有を生み出さない、無が無のままで「何か」を生み出す魔法。
誰もが持っていて、しかし使い切れない「想像力」という名の魔法。

アニメーションというのは、超自然的な描写に適した媒体です。
画面内にいるキャラクターと同じ密度でエフェクトが描かれる為
低予算の実写に観られるような、人とそれ以外とのギャップが生まれない。
だからこそ、魔法や未来描写をはじめとしたファンタジーは
アニメーションの十八番でもあるのですが、
本作ではその特性を逆手にとって
「想像力」をアニメーションで形にしてみせた。
特別なものを大げさに描くのではなく
特別でない所をしっかりと描く事で
人間の持つ、イマジネーションというものの
凄みを描けている。
新子というイマジネーション・マスターに
僕らの心は踊り、多くを学ぶ。

物語の舞台が昭和30年頃、という事が
その作品表現の為に必須な作品でもあります。
戦後10年、また担任の先生の子供は何と名付けるか、
ひばり(美空ひばり)かちえみ(江利チエミ)か、という会話だけで
大体の時代はわかるのですが(こういった所も上手い)
この時代が舞台である事によって、この作品には
特別な設定が必要なかったのでしょう。

大きく括れば、今は「鈍感な時代」です。
死に対し鈍感、生に対し鈍感。
だからこそ、それを取り戻す為の物語が大量に生まれますが
それゆえに、並行世界やタイムスリップを使ったり、
空から何かが降ってくるように、突然のバトルなどでもって
死なども交え、僕らの常識を揺り動かす物語が多い。

「有る」事の素晴らしさを実感するには、
その「有る」事が当然ではない、と知る事が
最もわかりやすく、伝達力が高いのです。
しかし凪のような現代社会にあって、その表現を
今の中だけで描くのは、困難。
(ゆえに、それを達成した『true tears』あたりは
その稀少性だけをとっても、大傑作と言っていい)

ところが、昭和30年。
戦後の傷跡が「生々しい」というほど身近でなくとも
忘れるにも近すぎる、直接の影響を残すその時代は
「楽天的に生きる事」(新子の素敵なイマジネーション、魔法)と
「厳しい世界」(親の死、一家離散、引越し…)を
現実のままで同時に描くのに、驚くほど適している。
作中で言えば、ウィスキーボンボンをつまみながら
酔っ払った子供たちが「お母さん死んじゃった」と
笑いながら告白し、その告白が尾を引かない…
この感覚こそが、「戦後10年」の感覚として自然で、
その絶妙さこそが、『マイマイ新子』を、
超常の魔法や設定をはじめとした、
非現実的なものの助けなしに、
現代人に鋭敏な感覚を取り戻させる
リバイバルを促す作品として成立させています。
この世界なら、新子の感覚の尊さを強調する為に、
わざわざ異世界に行くまでもないのですね。

更には、この作品は「土地の物語」でもある。
ここ2年程、特に『true tears』をきっかけにして
物語における、土地の物語(土地の持つ情報)
というものに対して意識をしているのですが、
本作はかなりストレートに、「土地の物語情報」を感じます。
ここで言うのは、郷土史のような厳密な史実というより
連綿と続く土地(文化)そのものを
物語の背景エネルギーとして活用する事、
この事については以前『ソラノヲト』に関して
「土地としてのリアルなエネルギー」
という言い回しでもって、簡単に触れています。

山口県を舞台にし、その土地を感じる事で
過去に思いを馳せる…
(川が直角に曲がっているという事は、
その前に屋敷があったのではないか…なんてのは
素晴らしい「土地の視点」です。感動しました)
その想像力という名の「千年の魔法」は
昔と今を繋げる事で、今がただ
独立したここにある、孤独な今でないと示している。
言い換えれば今もまた、未来から想像される過去になる。

つまりは連綿と続く歴史の一部であるという実感、という事ですが
これも先述の「鈍感な時代」に関わる部分で、
近代都市で感じる事の難しい、生の実感の為に必要な
一つのバリエーションでもある。
土地とは歴史、土地とは世代。
1000年前ほどの昔に限らず、すぐ近くを眺めてみれば
新子には、様々な事を教えてくれ
彼女に「土地の視点」を与えたおじいちゃんもいます。
おじいちゃんなしに、新子は新子たりえなかったでしょうし
そのお母さんとお爺ちゃんも、残ったウィスキーボンボンをつまむ
和やかなシーンでもって、その育ちを、その父母を感じさせる。
やはり彼女は(そして我々は)個人である一方で、
今ただ一人でここにいる「個」ではありえないわけです。。
これもまた、都市家族が喪失しつつあるものですが、

絶妙な時代設定、
土地のもつ情報、
家族という最も身近な継承…
これらを活用して、想像力を、そして
それを活用するに最も必要な「命」を。
それらの尊さを、十全すぎるほどに表現できている
本当に、本当に、素晴らしい物語。
僕の中では『ストレンヂア』以来の傑作アニメーション映画です。
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ユーザレビュー:
面白かった最近は妙に ...
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こういう映画に使うのか、という
スキャットをはじめとしたBGMの妙。
ジブリに倣い、本来僕があまり好きではない
職業声優に頼らないキャスティングが、本家ジブリなどより
遙かに成功している、見事な声優陣。
(特に主役はジブリ、細田守作品より全然良かった。
 新子役・福田麻由子さんは最高に素晴らしい。
 単に素人っぽい声で特徴を出すのではなく
 ちゃんと「新子として」生きているのを感じました。)
一つの挙動でその人間が見えてくる、細かい演出の的確さなど
とにかく素晴らしい作品でした。

余談として、僕はこの映画をみながら
涙を流してしまったのだけれど、間違ってもこれは
「泣ける映画」という意味合いでのソレではなくて。
もちろん、大きくは「感動」という括りは可能でしょうが
個人的には、感動の涙ではなく
悔しさの涙、でした。
自分は子供じゃないんだな、という悔しさとでもいうのか…
今まさに子供である彼らが、この映画から
自分たちのいる今がどれほど尊いのかを感じられたら
それは最高だな、とも思いますが
おそらく、それは難しい(子供にはちょっと難しい)ので…
やっぱりこれは、僕らが悔しがりながら、しかし
今でも可能な事に思いを馳せる物語なのでしょうね。
観 る べ し !パンフレット買ってな!orz
そして気に入ったならDVDも予約です!僕?もうポチりました!

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