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zoom RSS 『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』第一話「響ク音・払暁ノ街」 神戸守ノ描ク黄昏世界

<<   作成日時 : 2010/01/05 20:54   >>

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2010年1月期のアニメシリーズで
オリジナル企画として注目を集める『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』。
僕自身も、オリジナルアニメ頑張れ!という気持ちと
それ以上に、監督が神戸守さんという事で
大変注目しています。

神戸守さんといえば、僕の心のアニメ
『コメットさん☆』の監督であり

原作アレンジアニメとしての傑作『エルフェンリート』の監督でもある。
(一般的には『苺ましまろ』演出?)
以前、その2作品をリンクさせる事で
「神戸守チェック」もかけています。

神戸守チェック?〜エルフェンリートと、コメットさん両第1話〜

勿論コレを書いた頃は、神戸守さんが
今稀少なオリジナルアニメの監督を務める!とは
考えてもいなかったけれども、
いざ形にされてみると、
「答え合わせ」が色々できて面白いものがあります。
それにしても儀式の最中のクリムト画は
物凄い記名性ですねえ。あれだけで神戸守度上がる上がる。

当時書いた事で、今回適用できそうな部分を抜き出してみると

コメットさん☆とエルフェンリート、ともに第1話は絵コンテ・演出ともに神戸監督。絵コンテと演出が同じである事で、脚本を咀嚼した先のコントロールはほぼその人が一手に引き受け。しかもそれが監督本人であったら…言うまでもないですね。神戸監督のアニメ作りは、そんなに一般的なTVアニメーションの作り方ではないので、1話は先ず自分の「形」を見せ方向性を示す必要もあり、大体の作品で1話絵コンテ演出をされているのだと思います。


とりあえず、1話はコンテ演出ともに神戸監督。
2話の先行情報を観ると、コンテだけ手がけて
演出は任せているので、
やはり先鞭をつける意味合いが強いように思います。

コメットさんの頃から、ファンの間では神戸守=実写的と言われていたのですが、単純な話、ロングショット(というか、もう、超ロングショットですね)、更にモンタージュの多用。これら断片的なカットを繋ぎ合せる事で、まずキャラクターの生きる「場」、舞台そのものの存在感を際立たせます。周りが存在感を得てこそ、キャラクター達のドラマは息づく と、いう類の意識が貫かれているのが、神戸コンテの特徴の1つではないでしょうか。アニメーションというものがフィクションだからこそ、その舞台は地に足をつける事で、「日常の中の非日常」であったり、「現実の中の非現実」を強調できるのではないかと…


この点で、『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』もかなり「神戸的」。
Aパートから神戸全開過ぎて俺様大満足でした。
まだ突き詰めてはいないので、感覚的な話ですが
神戸守さんにしては(あくまで彼なら、のレベル)
ちょっとカメラが近い所があるかな?
という印象もありますが…キャラクターものとして
ある程度配慮したのでしょう。
いや、これでも神戸さんとしてはかなり配慮してると思いますよ?
地味とか思ってる皆さん(笑)。

※あと、作画サイドが「キャラ描きたがり」で
 演出を汲み取りきれず、レイアウト近!
 神戸監督にしてはこれは近いのよ!な可能性もある(笑)

ですから、神戸演出にはロケハンが欠かせないと思うんですよね。ゼロからの創出で、監督の望む背景美術効果を生み出すのは相当難しい。コメットさんとエルフェン、ともに舞台が歴史があり、特徴的で、趣のある鎌倉であるのも、神戸監督の拘りが感じられます。


ロングショットを多用すると、必然的にキャラ作画以上に
背景美術の頑張りを要求するわけで、そこは予想通りでしたが
今回、オリジナル作品なので明確な「場」は無いようですが
スペインでロケハンは敢行している様子。やっぱね。
たしかに、一応WW1〜2(20世紀初頭〜中ほどまで)の
イタリア・スペインな空気は纏っていて
作中で早速行われた「水かけ祭り」は
スペイン・バレンシア地方の「トマト祭り」に
インスパアされているような印象もあります。

この「祭り」が何故あるか、何故描かれたかというと、
勿論意味はあるはずで。
それは、上に書いた「神戸守観」から読み取れると思います。

オリジナル作品のオリジナルな土地である以上、
これまでの神戸傑作における「鎌倉」や
或いは『true tears』の「富山」のような
「土地としてのリアルなエネルギー」が不足している。
だから、まず架空な土地の土着文化を描く事で
ファンタジーな土地なりの重み・歴史を描かないといけない。
でないと、神戸演出の求める
>周りが存在感を得てこそ、キャラクター達のドラマは息づく
>と、いう類の意識
に到達しないから。
この辺、舞台が現実にそのまま存在するなら
おそらく画のエネルギーで押し切れた部分とも思いますが
オリジナルである事に自覚的で、さすがの神戸守らしさ。
彼がオリジナルな舞台での物語を手がけるなら、
きっとこういう手順を踏みたくなりますよね。

彼の映像作りの真価の1つは、モンタージュを多用しつつも、1つの長い楽曲をほぼフルでそのまま流す事で、音楽との付かず離れずの不思議な調和を見せ、結果、断片繋ぎなのに何故か長回し感が出る、という特徴があるように感じています。でもこれって、楽曲の充実が不可欠なんですよ。典型的な劇半=喜怒哀楽に即したBGMなんかではまるで足りないわけで、心の奥を俯瞰してみせるような、音楽からのアプローチが必要なんです。


BGMに関しては、蜜月の小西・近藤ペアと組んではいないものの
同様に「喜怒哀楽の記号的なBGM」ではない、長回しに適した
素晴らしい人材を見出しています。
なんと音楽、大島ミチルさん。
観ていて「あれ、これ大島ミチルじゃね?」と気付いたのだから
手癖というか、既存の彼らしさはかなり全開。
つまり実績通りの音楽という事ですけど、大島さんといえば、まあ

『ICO』(PS2)ですよね。

環境音のようなSEを殺さず、主張しすぎない中で
独特の存在感を見せ付けた、ICOのサウンド。
個人的に、プレイステーション2全体の最高傑作と位置づけ
ソフトもサントラも発売日に買った、ICOの世界観と
つかず離れずでの音楽の主張を要求する、神戸演出の合体。
…何この俺得状態(笑)
若干キャスティングに不満は残りますが(笑)
心に迫るもの同士がタッグを組んでいるわけで、ウハウハでっす。

また、OPがKalafinaというのも結構ポイントで
大島ミチル〜Kalafinaという線が引かれる事で
彼らの中に共通して存在するスパニッシュな要素、ひいては
帝国主義の繋がりか?
南米、アルゼンチン・チリあたりをも想起させる
音楽世界が息づいていて。
南米の文化というのは、まさに「土着」の印象が根強く
音楽がそこや、ヨーロッパ南部の田舎空気を持ち込む事で
「フィクションな土地」そのものの弱さを
(背景美術は頑張ってますが、
 真ロケハンアニメには及ばないという意味で)
うまく全体でフォローしているように感じます。
だから、この一話で重要なのは、展開でも、キャラクターでもない。
まず「場」です。
場がどこまで定着したか、が問題ですし
それはある程度、成功しているようにも思う。
(素直にバレンシアなりまんまで使えば、もっと伝達はやいと思うが)
着実な歩みすぎて、明らかに「地味」ですし
掴みも余りない事は、確かなのですが
まず「物語る舞台は整ったよ」という事は、言っておきたい。
ここからです。本数も少ないし、オリジナルは更に少ない。
「俺は一話で切った」とか言ってもなんの自慢にもならないので、
まあ、暫くお付き合いください。じっくり攻める作家ですしね。

あとは

つまり神戸演出というものは、脚本だけでなく、ロケハンと、更には音楽も十全に応えてくれる環境じゃないと発動しない、条件の難しい演出なのではないかと。他の演出さんへの伝達も難しいですしね。コメットさん☆でも、辛うじて神戸テイストを汲めていた演出さんは佐土原武之さんという方だけだったように感じていますし、その方がエルフェンにも参加している事からするに、神戸テイストって、TVシリーズ通しての徹底は難しいと思うんですよ。


この読みが外れる事を祈るだけ(笑)。
スケジュールに余裕があるなら、ある程度回避できるはずなので…
頑張れ、神戸監督。頑張れ、A-1(制作スタジオ)。なのでした。


あとはオマケ。

・キャスティング
…うん。まあ、ここ、「声優・高垣彩陽さん応援ブログ」なので
彼女がいないだけで、若干アレなんですけど(笑)
かなり薄口なキャスティング。
主役の金元寿子さんは、最近増えている声質で
例えば花澤香菜さん、伊瀬茉莉也さんあたりに連なるような
ピュアボイス系の萌えボイス。
おそらく「世界の美しさを享受し、同時に与える」
純粋な鏡ポジションだから
配置意図にはピッタリとは思います。
ピッタリすぎて、或いは連想される声が多すぎて
この作品が終わった時「金元さんだからこその何か」
が出るかはちょっとわからなくて、その辺は見守ってみましょう。、
キャスティングの肝は先輩の小林ゆうさんと思われますが
どうしても二枚目系美女を演じる時のタイプが一定なのは
気になる所です。少年声は最高なんだけどなあ。

・作画
どこでも「けいおん!」って言われてるんでしょ?(笑)
まあ、キャラデザも作画監督も赤井俊文さんですからね。
赤井さんといえば、同人などもしている
ファン意識の強い、WEB系アニメーターで
(明確な定義があるかは知りませんが
 ネットで活動していて、同時に
 既存のアニメーターに対するファン意識がロコツな
 二次作画な人達が、僕の思う「WEB系」です)
元ガイナックスの、堀口悠紀子大好き人間。
頬をはじめとした顔のラインに
若干貞元義行〜ガイナックスラインを残しつつ
中を形成するパーツや髪は京アニ堀口、という

なんというか、己の出自をまったく偽らない画ですね(笑)。
もうちょい独自性を出してもいいと思うんだけどね…
この辺が、アニメーターの世界も縮小再生産かな、と思う部分。
何故か燃える赤が好きだ…(?)。

また、敢えて纏めた髪の毛で動かす事を意識しているようですが
髪アニメートに関しては、イマイチうまくいっている印象がないので
(部分部分がリピートで動く、ダメな感じ)
はやめに田中宏紀さんなりを呼んで、無理やり
ねりねり動く髪を視聴者に印象付けた方がいいと思います(笑)。
いや、僕作画オタクじゃないけどね、興味も一応あるので…。

・物語

しらんがな(´・ω・`)

…え?(笑)

いや、導入も導入で…なんといったものか…
「世界を救う話」ではなくて
「黄昏の中でも、生きていく物語」なのかな?
サブタイトルに「払暁」とある事から
戦災から復興していく、
街の息吹の物語かもしれません。
一方で、全体の印象としては、
夜明けよりは夕暮れ時。
『ヨコハマ買い出し紀行』のように
こういう世界なんだ、と
受け容れた上で歩む物語にも思えます。
今イメージしているのは、
こじんまりとした『風の谷のナウシカ』。

ま、現状じゃ殆どなんにもわからないのですが
主人公、カナタが

「はい、幸せです!」
「お陰でこんな素敵に出会えました!」

と言っているあたりがポイントなのでしょうね。
これは単なるポジティブシンキングというだけでなく
世界の状況とは別に存在する、個人としての
幸福を享受する為の「眼」或いは「考え方」。

それは「世界は輝いている、この世界は美しくないけれど、美しい」
と堂々と謳ってみせた
『コメットさん☆』の神戸守だからこそ描く価値があり
また、共に描いた脚本家であり
末期ガンの中「ボクがもらった幸せ」という題で本を書き上げたような人、
おけやまもるさん亡き今
神戸監督こそが宣言する価値がある物語であるように思っています。

瞳に輝きを宿す少女
カナタの物語、はじまり はじまり―

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