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zoom RSS 『そらのおとしもの』『ささめきこと』両最終回に見る、原作アニメ構成の行方

<<   作成日時 : 2009/12/31 21:17   >>

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関東圏では、12月31日放送の
『ささめきこと』をもって、09年秋番組は全て終了しました。
当ブログのお日さまこと声優・高垣彩陽さんも
凄まじい勢いでブログ更新しており、全然ついていけていませんが(笑)
このことについても触れられています。

おわってく…。
一年が終わる、という事にかけての発言とはいえ
以前も引き合いに出した名文
おわってしまいました。
を思い出す。おそらく彩陽さん本人も意識しての事でしょう。

さて、彩陽さんが話題にされていたから、という理由ではなく。
…いや、それも理由ですが(笑)
偶然にもこの2作は、
原作付きアニメーションの今後を占う上での
「攻め」と「守り」とでも言うべき、両極端な2作なのでした。
どちらもオールひらがなですしね(特に関係ない)。
このジャンルのNOW&THENを観る上でも、2作品の今後が気になるところ。

『そらのおとしもの』は攻め。
『ささめきこと』は守り。
確かに、エロやパロ全開の『そらおと』
穏やかな『ささめき』という分けかたでも、攻守イメージは
そのままでしょうけど、今回は
脚本構成をさしての話。
「原作をどれだけそのままにするのか?」という選択において
『そらおと』と『ささめき』の用意した回答は、
まるで違うものでした。
その確認の為、どちらも原作をチェックし終えました。

『そらのおとしもの』は、構成レベルにかなりの解体・再構築が見えた。
ニンフを構成の軸に据える、という選択をしたその上で、
原作での、ニンフの物語が落ち着いて仲間内に入ってからの
面白いエピソードの多くを「前」に持っていった。
原作未読の人に対して言うと
銭湯はじめ、半分近くのエピソードが「ニンフ以降」。
それをニンフが真に家族になる前に持ってくる事で
細かい部分に、かなりの変更を要求される事になっています。
(銭湯の時、量子変換機をいじるイカロスを見て呟いたニンフのように)
また、守形と会長を「両輪」と見立て
原作では若干動きが取れていない会長を
距離をとりながらも、作品に混ぜ込んだ所も評価したい部分。

原作は「答え」ではないのですが、一応世に出ているのがそれだけなので
とりあえず守っておけば、責任は原作に殆ど向かう事になるし
1つのお手本ではある。見習えば安全。
それに対して、今回の『そらおと』のような再構築は
全てのエピソードに対して「その時の、そのキャラ」を
キッチリ詰めないと、違和感が出てしまうので面倒な仕事です。
でも、そこまでしても「後」のエピソードも詰め込んだ。
そこにあるのは、強いサービス精神。
今ある素材の中でベストのものを作ろうという
攻めの作り。部分部分の賛辞や批判よりも
まずその姿勢にこそ価値を感じます。

一方の『ささめきこと』は「守り」。
原作2巻までのエピソードを、13巻かけて
じっくりと描きこんだ。
細かい部分で、仕事はしているのですが
やはり構成表自体は「そのまま見せた」ものと言える。
原作を読んでいてわかる通り、朱宮くんは
面白いキャラである一方で、その役割を果たせていない。
登場した時が瞬間最大風速であって
その後は、純夏と風間の構造に働きかけるでもなし
3巻のロッテ出現によって、フェードアウトの色合いすら強まっている。
現状では、脇を賑わすキャラではあるでしょうが
2話以外で彼を主軸に据える意味はない。

しかし、7話「少年少女」。
単話としては面白いけれど、そんな彼とのデートに
そのまま1話を割いてしまう、というのは
「そのまま見せる」の意識なしにはありえない選択。
一方で11話『なんでもない』というプール・エピソードでは
朱宮くんとその妹を、混ぜ込んだりはしてこない…
一貫したテーマに基づいた構成は組まず
「原作の良さをそのままだそう」という形になっている。

どちらが単純に良い悪い、とは言いにくい。
それぞれがそれぞれの選択ではある。
しかし僕は、アニメ好きとして
それ以上に個人の好みとして、敢えて言いたいと思います。

攻めこそ正義!!!!

アニメーション制作の規模が縮小し
短い3ヶ月、1クールのアニメが増えています。
同時に、オリジナル企画を動かすリスクを避けて
原作モノの比率も増えてきている。
そんな中、ひとつの出し方として
「人気が出たら、2期を作る」というものがあるのは事実ですし
その上で、先を見越して(変に変えると、帳尻合わせも大変なので)
そのままを出す、というのが1つの主流になっているのも、また事実。

今年セールスで結果を出した『化物語』は、
演出の尖り方でもって個性は出しましたが
構成脚本の仕事としては、セリフの選定くらいしかない
(それも、殆どは文字演出等でフォロー)。
つまり、『化物語』はその演出の攻撃性とは裏腹に
原作への姿勢、それ自体は保守本流です。
それが大ヒットし、そしてネットなどを観ていても
原作ファンの「原作と違う=ダメだと思う」の力は
数年前とは比べ物にならないくらい、増してきている。

けれど、その道はアニメーションにとってジリ貧ではないか?
という気持ちも、正直言ってあるのです。
原作はあくまで原作。
正しくは「原作」という名でもって、その地位に置かれた時から
アニメーションは、そこまで強く
「原作」に引きずられる必要はないのではないでしょうか。

勿論、原作に魅力がなければアニメ化までこぎつけない、というのはその通り。
その上で、原作の忠実なアニメ化を目指すというのも
1つの回答として否定したくはない。
…でも、同時に「原作の解体再構築」も同じくらいに肯定され
評価され、結果を出して欲しい。
でないと、アニメーションの文芸が育たなくなってしまう。
観る側としても、原作ママばかりでは刺激に欠けますしね。

特に1クール主流になって以来、予め終わらせる事を諦め
素材を提示し「2期見たいですよね?」という作品が増えすぎて
バランスが取れなくなっている為
個人的には、どうしてもその「再構築」側を擁護してしまいたくなります。
『化物語』が成功したのだから、バランス上も
こういったリ・メイク、リ・モデルにも成功例が出ないと
今後作られるアニメーションが、過剰な準拠に
極端に寄ってしまうのではないか。それを恐れるがゆえに
『そらのおとしもの』の成功を願ってしまいますし
今、伝え聞く数々の成功に、とてもホッとしています。
柿原優子さんのこの構成は、ひと昔前の構成なのかもしれない。
今の主流は、ペースを崩さずそのまま見せるものかもしれない。
けれど、だからこそ今
『そらおと』が成功する事には大きな意味があると思います。

一方で「今」を汲んだのが『ささめきこと』倉田英之さんの仕事。
しかし今回僕は『そらおと』側の論陣に立つので、
敢えて言わせていただきますと

これでもし2期が作られなくて、ロッテちゃんが出なかったら
後悔しない?


ここが凄く気になるのですよね。
1クール×2の分割クールが予め決まっているなら、それでいい。
でも、1期目の結果を見て動く動かないを決めるのだとしたら
3巻のロッテちゃんやそれに関わる純夏の
「わたしはカワイクなれないから!」という叫び、
そこを描かないで、結果ダメで
「ああダメだったね…」って、それでいいの?
と、思うのです。
これまでいくつ「2期やりたいですね」
と言って、そのままになったアニメーションがある事か。
でも「2期やりたいですね」って、言い換えれば
殆どの場合、「1期での遣り残しが多い」でしかない。
勿論原作が続いている以上、物語が続く形式であるのは構わない。
それは『そらのおとしもの』もそう。
でも、そこではなくて
原作の中で「やりたい部分」「やった方が映えるに決まっている部分」を
出さないで、企画がポシャったとしたら
それは「守りの敗北」だと思うのですよね…

いや、僕は『ささめきこと』の2期も見たいですよ?
けれど他にもたくさんの「2期が見たいアニメ」がある中で
そんな待ちの姿勢でOKな原作力を持つ作品なんて
どれほどあるのかな、と思うのです。
その点においては『そらおと』は確実に成功して欲しいし
その結果、もし2期が作られるというのなら
それは痛快無比。
(先のネタもつまみぐいしているから、今回ほどの
贅沢感・詰め込み感は出ないでしょうが、
まあアストレア軸で原作者公認オリジナルでも挟めばいい)
一方で『ささめき』の続編が作られるとしたら
「良かったね」ではあるけれど…
方向性としては「作られなくてもやむなし」に思える。
勿論、それと引き換えに
忠実な、急がない間を持った
得難い空気の『ささめきこと』は生まれましたが…
それは2クールの選択で、1クールなら
ロッテちゃんは出そうよ!!と
どうしても僕は思ってしまうのです。
ある程度はやるだけやろうぜ、攻めようぜ、と。

そんな攻めの構成が、今後も生まれ続ける事を祈って
『そらのおとしもの』に感謝を捧げたい、09年の年末なのでした。

でも『ささめきこと』のDVDを2本買う俺(ry

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